めまい
「メッセ」 平成9年8月号掲載「健康シリーズQ&A」より
- 40歳の主婦です。先日、いつものように一日の家事を終え床に就くと、天井がユラユラと揺れる”めまい”に襲われました。しばらく静かにしていたらよくなりましたが、めまいの最中には吐き気も感じられました。何か大きな病気の前兆ではないかと不安です。めまいについて教えて下さい。
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まず、めまいの症状についてお話ししましょう。症状は、(1)急に立ち上がった時にクラクラする「立ちくらみ」(2)歩く時にふらつく「平衡障害」(3)目の前が暗くなる「眼前暗黒感」(4)遊園地のコーヒーカップに乗った後に感じるような「回転性めまい」(5)船に酔った時のようにユラユラする「動揺性めまい」の五つに大別できます。なかでも、(4)の回転性や(5)の動揺性めまいは「真性めまい」といわれ、まれに脳に異常がみられるケースもあるので要注意。特に高齢者は、脳梗塞を起こす前兆とも考えられます。また若い人では、脳腫瘍の可能性がないともいえません。
最初から驚かせてしまいましたが、めまいは日常たまに経験する症状であるために「疲れがたまっているから」「更年期かな」などと比較的、軽視されがちです。しかし、身体からの黄信号と受け止め、早期に受診されることをお勧めします。
受診の際、医療機関はまず、めまいを感じた時の状況や症状を詳しく問診します。次に簡単な検査を行い、めまいを引き起こしている原因を探し出し、治療を始めます。治療は必要に応じて、神経内科や耳鼻科、脳外科で行います。大まかな治療の流れを下に示しました。
例えば、めまいとともに耳鳴りを感じた時は、内耳性(メニエール病、良性頭位性めまい症など)と診断。耳鼻科での治療が必要になります。簡単な検査の代表的なものには、綱渡りのように一本線の上を歩いてもらう方法と、眼球の動きを観察する方法があります。まっすぐ歩けない時は、何らかの神経異常が考えられるので、超音波などを使い、脳の精密検査を行います。眼球運動に異常があるときは、内耳性と診断します。
さて相談者の場合は”頚性めまい”ではないかと思われます。これは、肩凝りやストレスが原因で発症するもので、一般に首が長く、なで肩の女性に多く見られます。めまいを感じるとなによりも不安を抱きますので、治療としては精神安定剤などを服用しながら、筋肉の緊張を緩和させるためのマッサージや温熱療法などを行います。
めまいは一度、経験すると「次ぎに来るめまい」に恐れ、その恐怖心でストレスをため込むことにもなりかねません。繰り返しになりますが、どんな小さいめまいでも軽視せず、気軽に専門医にご相談下さい
井内科クリニック 井 重博